GCP(Good Clinical Practice)に基づく臨床試験

国立名古屋病院 下山 正徳


 臨床試験一般、特に新薬開発の臨床試験の国際的ガイドラインとして、ICH(International Conference on Harmonization)ガイドライン(Q,S,E,Mの4種類、計43ガイドライン)があります。QはqualityでGMP関係、SはsafetyでGLP関係、EはefficacyでGCP関係、Mはmultidisciplinaryです。EのうちのE6がGCPそのもので、これをICH-GCPと言います。EのICHガイドライン(英文)の一覧表を別紙に示しましたが、これらは国際版で、我が国では、別紙の右側の通知がそれに当たり、これらは一括して新GCPと呼ばれ、治験で遵守することが求められます。治験では更に薬効別の臨床評価ガイドラインが出されております(下記リストのB)。

 一方、公的研究費のサポートで行う治療研究(公費臨床試験)は治験のような規制はありませんが、国際的なICHガイドラインのレベルを守る必要があります。従って、JCOGではそのためにガイドラインを作っています(下記リストA)。

 臨床研究体制や基盤整備関係はCとして分類してあります。

A.JCOGの公費臨床試験関係

下山正徳、他:厚生省がん研究助成金指定研究「固形がんの集学的治療の研究」班における臨床試験計画(プロトコール)の作成と実施、並びに結果の統計解析とその評価に関するガイドライン 第一部 プロトコールの作成に関する医学的並びに科学的事項とその審査。癌の臨床、42(2):407-439,1996.

下山正徳、他:厚生省がん研究助成金指定研究「固形がんの集学的治療の研究」班における臨床試験計画(プロトコール)の作成と実施、並びに結果の統計解析とその評価に関するガイドライン 第二部 がん臨床試験のインフォームド・コンセントの指針。癌の臨床、42(3):441-454,1996.

島田安博、他:Japan Clinical Oncology Group(JCOG)の臨床安全性情報取扱いガイドライン。JCOGガイドライン集(厚生省がん研究助成金指定研究4班(11指―1,2,3,4)等によるJCOG運営委員会事務局編)、薬理と治療、26(3):264-274,1999.

下山正徳、他:がん臨床試験の統計センターシステムの開発研究 1.統計センターシステムの開発。癌の臨床、43(1):87-116,1997.  下山正徳:NCI-CTC(Common Toxicity Criteria)の日本語訳JCOG版について。癌と化学療法、26(8):1084-1144,1999.

Shimoyama, M. et al.: Japan Clinical Oncology Group(JCOG).Jpn. J. Clin. Oncol., 28(3):158-162,1998.

B.治験における薬効別(抗がん剤)の臨床評価ガイドライン又は治験関係

下山正徳:抗がん剤第T相試験のイントロダクション。癌と化学療法、24(2):246-255,1997.

下山正徳、他:抗悪性腫瘍薬の第T相試験のガイドライン。薬理と治療、26(4):9-22,1998.

抗悪性腫瘍薬の臨床評価ガイドライン作成に関する研究班(班長 末舛恵一)他:抗悪性腫瘍薬の臨床評価方法に関するガイドライン。新薬臨床評価ガイドライン(日本公定書協会編)、pp.313-366,薬事日報社、1992.

抗腫瘍性BRMの臨床評価ガイドライン作成に関する研究班(班長 下山正徳)他:抗腫瘍性BRMの臨床評価方法に関するガイドライン(案)。新薬臨床評価ガイドライン(日本公定書協会編)、pp.548-560,薬事日報社、1994.

C.臨床研究体制や基盤整備関係

下山正徳:がん臨床試験の研究機構及び研究体制の確立。癌と化学療法、26(2):235-245,1999.

下山正徳:T.インフォームド・コンセント(I・C)をめぐる最近の諸問題 1.I・C−歴史的展開と最近の動向−。臨床化学、33(4):389-397,1997.

山田博豊、他:米国における臨床試験実施体制の現状と日本における今後の臨床試験の在り方−がん臨床試験研究体制の在り方取材調査報告−。臨床医薬、14(6):2807-2820,1998.

下山正徳、古澤康秀:臨床試験研究とその研究体制の在り方。臨床腫瘍学(第二版)、789-810,日本臨床研究会編、癌と化学療法社、1999.